酒さが始まったきっかけを振り返ると、そこにはストレスがありました。
仕事で強いストレスを感じていたころ、あごのラインに大きなブツブツができ——それが酒さの始まりでした。
ストレスと肌と腸は、思った以上に深くつながっています。体験と研究からお伝えします。
Q:ストレスで酒さは悪化する?どんなしくみで肌に影響するの?
Q:腸脳相関って何?腸と気分はどうつながっているの?
Q:ストレスを減らすために、何から始めればいい?
A:
ストレスを感じると「コルチゾール」というホルモンが分泌され、血管が拡張して酒さの赤みや炎症が悪化しやすくなります。同時に腸内環境も乱れ、腸と脳が双方向に影響し合う「腸脳相関」を通じて気分にも影響が出ます。ストレスケアは「気分転換」だけでは足りないこともあります。ストレス源そのものに向き合うことが、根本的な解決につながる場合があります。
ストレスが酒さの「始まり」だった——あごのブツブツと仕事の記憶
今振り返ると、私の酒さは「ストレスと一緒に始まった」と感じています。
酒さの症状が出る前段階で、あごのラインに大きなブツブツができたのです。
そのころ、仕事で自分でもわかるくらい大きなストレスを感じていました。今思い出しても、ワースト3に入るくらいの出来事です。
ストレスが即、肌に現れるという実感はありません。
でも、そのストレスな状況が続いたことで、じわじわと腸内環境が悪化し——その結果がブツブツにつながったのだと、今は思っています。
あのとき「これはストレスのせいだ」と直感的に感じた体験は、酒さと向き合う上でひとつの大切な気づきになりました。
そのブツブツを皮切りに、私の酒さが始まっていったのです。
実は、ストレスと酒さの関係は私の体感だけではありません。
海外の調査によると、酒さを抱える患者のうち約90%がストレスを悪化因子として挙げているというデータがあります。
ストレスは、酒さにとって「よくある」悪化因子のひとつなのです。
ストレスが肌を乱すしくみ——コルチゾールと炎症の連鎖
ストレスを感じると、体はそれに対応しようと「コルチゾール」というホルモンを分泌します。
コルチゾールはストレスホルモンとも呼ばれ、体を緊張状態に保つ働きをしています。
このコルチゾールが、酒さにとっては厄介な作用をもたらします。
コルチゾールが増えると血管が拡張し、顔の赤みや熱感が悪化しやすくなります。
もともと酒さは血管が拡張しやすい状態にあるため、ストレスによるコルチゾールの増加がその赤みをさらに強めてしまうのです。
さらに、コルチゾールは炎症を促す物質(IL-1・IL-6・TNF-αなどの炎症性サイトカイン)の放出を招くことも研究で報告されています。
慢性的なストレスが続くと、コルチゾールが高い状態が長く続き、肌の炎症が慢性化しやすくなるのです。
私がイライラしやすくなっていたあの時期——肌だけでなく、体全体が炎症しやすい状態にあったのかもしれないと、今は感じています。
ストレスは腸内環境も乱す——腸脳相関のしくみ
ストレスの影響は、肌だけにとどまりません。
腸内環境にも直接影響します。
北海道大学の研究では、心理的ストレスが腸の小腸パネート細胞から出る善玉ペプチド「αディフェンシン」の分泌を低下させ、腸内細菌の恒常性を乱すことが初めて解明されました。
つまり、ストレスを感じている時間が長いほど、腸内環境が乱れやすくなる——ということです。
腸内環境が乱れると全身の炎症につながりやすくなり、腸と肌がつながっている(腸皮膚相関)以上、その影響は肌にも及んでいきます。
もう一つ重要なのが、「腸脳相関」と呼ばれる考え方です。
腸と脳は神経・内分泌・免疫系を介して双方向に影響し合っており、腸と脳は絶えず情報をやりとりしています。
特に、腸は「第二の脳」とも呼ばれ、体内のセロトニン(幸福感に関わる神経伝達物質)の90%以上が腸でつくられています。
腸内環境が乱れると、セロトニンの産生にも影響が出て、気分の落ち込みやイライラにつながることがあります。
逆も然りです。
ストレスで気分が落ち込むと腸の動きが乱れ、腸内細菌叢にも影響が出る——。
緊張するとお腹が痛くなる、便秘の日は気分が重い、という体験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
私自身、今もその感覚を日々観察しながら過ごしています。
ストレスフルだったころ、自分では気づいていませんでしたが、腸内環境は乱れていたのかもしれません。
そして少しのことが大きなストレスに感じられていたのは、腸内環境の乱れが気分にも影響していたからかもしれない——今ではそう思っています。
「攻めのストレスケア」——ストレス源そのものに向き合う
ストレスを感じたとき、別のことをやって気分転換するという方法があります。
でも私が気づいたのは、「ストレス源が残っている限り、気分転換では解消されない」ということでした。
あのころ一番のストレスは、職場の人間関係でした。
自分が提案したことに対して、だいぶ年上の同僚が「それでいいけど、私はできないからあなたが全部やって」と丸投げしてきたのです。
過去にも同じことがあり、またかという思いと、それを上司が全く気づいていないというモヤモヤ。
日常的にそばにいる人がストレス源になっていると、小さな積み重ねがどんどん大きくなっていくのを感じました。
そこで私が選んだのは、「攻めのストレスケア」でした(笑)。
相手とは人間的な関係を断ち、ビジネス上の関係としてのみかかわることにしました。
業務上必要なコミュニケーションはとる。
理不尽なことはきっぱり断る。
私的なことへの口撃には、「人間一周目なんだ」と思って相手にしない。
すると、どうでしょう。
相手の勢いは弱まり、だいぶストレスが減りました(笑)。
「我慢してやり過ごす」のではなく、「現実を変える」ことがストレスの本当の解消につながると感じた体験でした。
離れられないのであれば、立ち向かうしかない。
誰にでも同じ方法が合うわけではありませんが、ストレス源から距離を置くか、あるいは向き合って何かを変えることが、根本的な解決になりやすいと感じています。
心を整える習慣——入浴とヨガが教えてくれたこと
ストレス源に向き合いながら、同時に「心をいたわる時間」も大切にするようになりました。
まず、入浴です。
毎日湯船につかり、じんわりと汗をかきながらリンパマッサージや顔のマッサージをします。
入浴はその日の疲れや緊張をほぐすだけでなく、心の汚れも洗い流してくれる感覚があります。
「今日もいろいろあったけど、サヨナラ」——そんな気持ちで湯船を出ると、すさんだ気持ちがすっきりします。
副交感神経が優位になることで、体も心もリラックスモードに切り替わりやすくなります。
もうひとつが、ヨガです。
週1回程度の練習では、体が柔らかくなるわけでも、痩せるわけでもありません(笑)。
ヨガが私に教えてくれたのは、「余計な思考を手放す練習」でした。
ただ呼吸に集中して、体を動かす。
自分の体の声に耳を傾ける。
余計な思考が浮かんでも、それを手放してまた呼吸に戻す。
そんな練習を続けていると、自分が今どんな気持ちなのか、なぜそう感じているのかを、少しずつ客観的に見られるようになってきました。
外に何かを求めるのではなく、内側を見ていく——その練習が積み重なることで、外からの刺激に大きく揺さぶられることが少なくなりました。
「ストレスケア」という言葉を聞くと、趣味や気分転換を思い浮かべる方が多いかもしれません。
それも大切ですが、私にとってヨガは「自分をよく見る練習」です。
怒りやモヤモヤの正体を観察できるようになると、ストレス源があっても前ほど振り回されなくなります。
腸内環境が整ったら、ストレスへの反応も変わった
数年かかりましたが、酒さの症状がすっかり落ち着いた今、以前のような強いストレスを感じることが減りました。
気分よく過ごせる日が、確実に増えています。
これは腸内環境を整えようと取り組んできた結果でもあるのかな、と感じています。
腸が整うと、セロトニンの産生が安定し、気分の土台が変わる——腸脳相関の考え方からすると、腸内環境を整えることがメンタルのベースを支えていると言えるかもしれません。
もちろん、今もストレスをゼロにすることはできません。
緊張するとお腹が痛くなるし、便秘の日は気分が重くなります。
でも、そんなふうに腸と気分のつながりを「観察しながら過ごす」ことができるようになったのは、大きな変化だと感じています。
体の声に耳を傾けることが、自分を整える第一歩なのだと思います。
まとめ
今日お伝えしたことを整理します。
・ストレスは酒さの悪化因子のひとつ。酒さ患者の約90%がストレスを悪化因子として挙げているというデータがある
・コルチゾール(ストレスホルモン)が血管を拡張させ、炎症性サイトカインを増加させることで酒さの赤みが悪化しやすくなる
・ストレスは腸内環境も乱す。北海道大学の研究ではストレスがαディフェンシンを減少させ、腸内細菌の恒常性を乱すことが解明されている
・腸と脳は双方向につながっている(腸脳相関)。腸内環境が乱れると気分にも影響し、気分が乱れると腸にも影響する
・ストレス源から離れる、あるいは向き合って変える——気分転換だけでは解消されないストレスには、根本的なアプローチが必要
・入浴やヨガは「心をいたわる習慣」。特にヨガは自分を客観的に見る練習として、ストレスに振り回されにくくなる助けになる
・腸内環境が整ってくると、ストレスへの反応も変わってくる。腸からメンタルを整えることも、ストレスケアのひとつ
ストレスは「気合いで乗り越えるもの」ではなく、「体のサインを聞きながら、腸と心を整えていくもの」だと、今は思っています。
まずは、自分が今どんなストレスを感じているのか、観察することから始めてみてください。
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